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  未来の飲食店は、人件費を抑える目的で、次第にオートメション化されていくことが予測されている。回転寿司の業態は参考になるが、設備投資額が1店舗あたり1億円以上と高額なのがネック。これを安価に実現できるシステムが求められている。
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回転寿司の経営からみた
オートメーション店舗の採算と問題点
JNEWS会員配信日 2014/9/22

 質の高い料理を提供していく上で、原価率の上昇は避けては通れないとして、コストを下げる余地が残されているのは、店舗のオペレーションを効率化させることである。その究極は、オートメーション化された店舗だが、日本の「回転寿司」は、その具体例として世界から注目されている。

回転寿司の発祥はかなり古く、1690年代に元禄寿司の創業者が、ベルトコンベアに寿司皿を載せることで、注文を効率的に捌く仕組みを考案し、実用新案の登録をしたことが起源と言われている。その独占権利期間が切れた1970年代後半から、全国的に回転寿司を手掛ける企業が増えていった。

現在では、回転寿司チェーンとして、元禄寿司の他に、かっぱ寿司、スシロー、くら寿司などがあり、約5000億円の市場規模に成長している。

最近の回転寿司は、寿司を流すコンベアの他に、タッチパネル式の注文システム、皿にICチップを埋め込んだ決済システムなども導入されており、接客にかかる手間(人件費)を省けるように工夫されている。ただし、設備投資にかかる負担は重くて、大手チェーンでは、1店舗あたりの出店に1億円以上を投じている。

また、人件費を抑えた分は、寿司ネタの仕入れにコストをかけているのも特徴で、回転寿司の原価率は45〜50%に設定されている。材料とする魚介類の多くは、海外から輸入されているため、為替が円安に振れることも、仕入れコストの上昇要因となっている。



これら回転寿司の基盤となるコンベアを製作するメーカーは、石川県に集中しており、現在は、石野製作所(従業員数135名)という会社が、全国シェアの6割を獲得している。回転寿司のコンベアシステムは、店舗のレイアウトに応じてオーダーメイドで設計、製作する必要があり、大手よりも中小メーカーのほうが手掛けやすいのが特徴である。

しかし、同じ回転寿司コンベアメーカーとして、業界シェアの3割を持っていた日本クレセントという会社は、2009年に倒産している。同社は、独自特許を 160件以上保有して、技術力には定評があった。それを強みとして、回転寿司の中でも客単価の高い、高級店向けのシステムに注力していたが、その後の業界は「一皿100円」の激安店が主流となり、高級店の出店数は全国的に減少、新規クライアントの開拓に失敗したことで、経営が破綻した。

 もともと飲食店の経営は、小資本・小規模で行えるものが理想で、大手のチェーンでも、高採算が見込めるスモール店舗を全国に展開することで売上を伸ばしている。その点からすると、回転寿司のような大掛かりな設備ではなく、もっとローコストで導入できて、人件費の削減に繋がるシステムへの需要が今後は伸びていくだろう。

この記事の主な項目
 ●人時売上高を基準にした飲食店経営の考え方
 ●飲食業で求められるアルバイト人材の新たな発掘方法
 ●オンライン化する面接方法とゲームによる若手人材の獲得法
 ●食材調達のカントリーリスクについて
 ●タコの原価率に依存したタコ焼きチェーンの採算構造
 ●回転寿司からみたオートメーション店舗の採算
 ●スモール飲食店向けスマートシステムの開発商機
 ●スマート自販機による飲食業の新形態

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JNEWS LETTER 2014.9.22
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