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  年間40兆円の国民医療費は、医師と製薬メーカーとの間で大半がやり取りがされている。以前は、過剰な接待で営業するのが製薬業界のやり方だったが、最近は透明性ガイドラインの開示義務により、オンラインで医師との関係を築くスタイルに変化してきている。
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年間40兆円の医療費を牛耳る
製薬会社と医師との業界構造
JNEWS会員配信日 2015/5/30

 医師をターゲットとしたビジネスを展開していく上では、この世界の業界構造を理解しておくことが大切だ。医師は多忙なこともあり、他業界との接点はあまり持っていない。

その中で、医師が情報源として活用しているのが、製薬会社の「MR」と呼ばれる情報担当者の存在だ。彼らは、自社の医薬品に対する正しい使用法を解説したり、医師からの問い合わせに対応するのが主な仕事だが、担当の病院や診療所を巡回訪問する、実質的な営業マンでもある。

ただし、医薬業界のセールスは独特で、医師から頼まれたリサーチや資料の作成を代行したり、勉強会の実施、食事会やゴルフなどを通じた信頼関係を深めていく中で、医薬品の取扱量(処方)を増やしてもらうような仕組みになっている。

そのため、製薬業界が医師向けに使う経費は莫大な金額で、年間で4,700億円もの資金が使われている。その名目は、共同研究開発費、学術研究費、原稿料や講師謝礼、情報提供費などだが、具体的な用途では世間離れしたものも少なくない。

たとえば、製薬会社は新製品の情報提供を目的として、医師向けの説明会を頻繁に行っている。会場を借りて医師に集まってもらうこともあれば、診療所の昼休みに訪問して行うこともある。

その時には、MRが医師やスタッフ分の弁当を持参するのだが、高級弁当を振る舞うことが慣習になっている。仕出し屋の弁当ばかりでは飽きてしまうため、ハイレベルな和食店やフランス料理店などへも、特別な弁当が発注されることもある。以前は一人あたり1万円近い超高級弁当もあったが、最近は業界の自主規制により、3千円前後の予算に抑えられている。

こうした予算も元を辿れば、国民が負担する公的医療費が財源となっているため、各製薬会社が医療機関に対して、どれだけの経費を使っているのかを公表する業界ルール(透明性ガイドライン)が出来たためだ。

 
 製薬会社でも、最近はコンプライアンス(法令遵守)が厳しくなり、昔のような派手な接待で、医師向けのセールスをすることが難しくなっている。MRを雇うための人件費も、1人あたりの平均年収が約1千万円と高額なため、コスト的にみても非効率なことから、オンラインで医師との関係を築くスタイルへと変化してきている。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です)

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 ●街の診療所が起点となる医療マーケティング
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